オールオン4は何年もつ?インプラントと人工歯の寿命、10年保証との違いを症例から解説
オールオン4が何年もつかには個人差があり、一律に「何年」とは言えません。大切なのは、骨に埋め込む「インプラント体」と、毎日の食事で力を受ける「人工歯(上部構造)」を分けて考えることです。当院で約15年経過した症例、公的な資料の数字、保証期間との違い、長く使うためのメンテナンスを解説します。
この記事の結論
オールオン4が何年もつかには個人差があり、一律に「何年もつ」と言うことはできません。骨に埋め込む「インプラント体」は長く使える方が多い一方、人工歯(上部構造)は材料によって作り替えが必要になることがあります。
- インプラント体と人工歯(上部構造)は、変化の仕方が違うため分けて考えます
- 当院で約15年経過した症例では、9本のうち1本のインプラントを入れ直し、人工歯は約14年使ったのちにフルジルコニアへ作り替えました
- 公的な資料では、インプラント全般の10〜15年の累積生存率は上顎で約90%、下顎で約94%程度と紹介されています
- 当院のインプラント体の10年保証は「寿命が10年」という意味ではありません
- 長く使うためには、毎日のセルフケアと定期的なメンテナンスが欠かせません
「高額な治療だからこそ、何年使えるのか知りたい」。オールオン4を検討している方から、とても多くいただくご質問です。
この記事では、オールオン4の「寿命」をどう考えればよいかを、当院で長期間経過を見ている症例と、公的な資料・論文の数字をもとに解説します。
オールオン4は何年もつ?
オールオン4が何年もつかは、一律には決められません。骨の状態、噛み合わせや噛む力、歯ぎしり・食いしばり、喫煙、全身の健康状態、そして毎日のセルフケアと定期的なメンテナンスによって、長期的な状態は大きく変わるためです。
そのうえで考え方のポイントになるのが、オールオン4を次の2つに分けて見ることです。
| 部分 | インプラント体 | 人工歯(上部構造) |
|---|---|---|
| 役割 | 顎の骨と結合して、人工歯を支える土台 | 実際に噛んだり話したりする「歯」の部分 |
| 起こりやすい変化 | インプラント周囲炎による骨の吸収 | すり減り、欠け、割れ、変色、汚れの付きやすさ |
| 長期的な対応 | 早期発見と治療。状態によっては入れ直し | 修理、または作り替え |
| 当院の保証 | 埋入手術から10年 | アクリリックタイプ5年、フルジルコニアタイプ10年 |
「オールオン4がだめになる」というと全体を想像しがちですが、実際には人工歯だけを作り替えたり、一部のインプラントだけを入れ直したりして使い続けることがあります。
15年たったオールオン4はどうなった?当院の症例
当院の総院長・橋村が2009年に初めて担当したオールオン4の症例では、約15年の経過のなかで次のような変化がありました。
- 上下で9本のインプラントのうち、1本をインプラント周囲炎のため入れ直した
- 当初の人工歯は約14年使用したが、すり減りや見た目の変化が進んだため、フルジルコニアに作り替えた
- そのほかのインプラントは、治療当時のものを使い続けている
また、2013年に治療したザイゴマインプラントを用いた症例では、約10年たってもインプラントは当時のまま使えていた一方、人工歯タイプの上部構造は大きくすり減っており、ジルコニアに作り替えています。
これらは個別の治療例であり、すべての方が同じ経過をたどるわけではありません。詳しい経過は「15年たったオールオン4はどうなる?」のコラムで解説しています。
人工歯(上部構造)は何年で作り替える?
人工歯は材料によって経年変化の出方が異なり、作り替えの時期も変わります。
レジンなどを使った人工歯タイプの上部構造は、多くの患者様の経過を見てきた当院の経験では、長くても10年程度を目安に作り替えが必要になることが多くなります。奥歯からすり減り、その結果、前歯に強い力がかかって欠けたり外れたりしやすくなる、という経過をたどることがあります。
現在当院で多く用いているフルジルコニアは硬い材料で、すり減りにくく、欠けたり外れたりするトラブルは起こりにくいと考えています。ただし、ジルコニアでも破損が起こる可能性はあり、噛み合わせや使い方によって経過は異なります。
当院独自の「二重冠」(特許取得済み)は、ジルコニアのフレームに歯を1本ずつ被せる構造のため、割れた歯だけを取り替えられ、人工歯全体を作り直す負担を抑えられます。
データで見るインプラントの長期成績は?
参考として、公的な資料や論文では次のように報告されています。いずれも当院の治療成績ではありません。
- 厚生労働省委託事業の資料では、インプラント全般(部分および全部欠損症例)の10〜15年の累積生存率は、上顎で約90%、下顎で約94%程度と紹介されています※1
- オールオン4に関するシステマティックレビューでは、24か月以上の生存率を99.8%と報告していますが、長期の追跡データはまだ限られています※2
「生存率」は、インプラントが抜けずに残っている割合です。人工歯の作り替えや、インプラント周囲炎の治療が必要になったかどうかまでは表していない点に注意が必要です。
10年保証なら10年もつということ?
保証期間と、オールオン4を使える期間は別のものです。
当院では、インプラント体に埋入手術から10年、人工歯にはアクリリックタイプで5年、フルジルコニアタイプで10年の保証を設けています。保証の適用には、当院が指定する定期メンテナンスへのご来院が条件です。
保証が10年だからといって、10年で使えなくなるわけではありません。反対に、保証期間内であれば必ずトラブルが起きないという意味でもありません。保証期間が終わったあとも、状態に応じてメンテナンスや必要な処置を続けます。
オールオン4を長持ちさせるには?
長く使うために大切なのは、トラブルが小さいうちに見つけることです。インプラント周囲炎は初期には自覚症状が少なく、気づかないうちに進むことがあります。
- 定期メンテナンス:当院では治療後、少なくとも半年に1回のメンテナンスと、1年に1回を目安にCTで骨の状態を確認しています
- 毎日のセルフケア:人工歯と歯ぐきの境目や裏側を、歯ブラシと補助清掃用具で清掃します
- 力の管理:硬いものばかりを好んで噛む習慣を避け、歯ぎしり・食いしばりがある方はマウスピースなどで人工歯を守ります
- 禁煙:喫煙は歯ぐきの血流を悪くし、インプラント周囲炎のリスクを高めるといわれています
また、治療の段階で、清掃しやすい人工歯の裏側の形や、力が一部に集中しにくいインプラントの位置を計画しておくことも、長持ちにつながります。
オールオン4治療の注意点
オールオン4は外科手術を伴う治療です。手術後に痛み、腫れ、出血、内出血が出ることがあり、感染が起こる可能性もあります。治療後も、インプラント周囲炎が起きたり、インプラントが骨と結合しなかったり、途中で脱落したりする場合があります。人工歯は材料によってすり減りや欠け、変色が起こるため、修理や作り直しが必要になることがあります。
オールオン4は公的医療保険が適用されない自由診療です。当院のスタンダード片顎4本の標準価格は2,990,000円(税込)です。治療費や治療期間は、お口の状態や治療内容、選ぶ人工歯の材料によって異なります。
よくある質問
オールオン4は一生使えますか?
使用できる期間には個人差があるため、「一生使える」とお約束することはできません。インプラント体は長く使える方が多い一方、人工歯は材料によって作り替えが必要になることがあります。長く使うためには、毎日のセルフケアと定期的なメンテナンスが欠かせません。
人工歯を作り替えるときは、また手術が必要ですか?
人工歯だけを作り替える場合は、インプラントを埋め込む手術は必要ありません。インプラント周囲炎などでインプラントを入れ直す場合は、外科手術が必要になります。
保証期間が終わったら、メンテナンスは受けられませんか?
保証期間が終わったあとも、メンテナンスや必要な処置を続けます。保証期間終了後に修理や作り直しが必要になった場合は、必要な実費をご負担いただきます。
メンテナンスはどのくらいの頻度で通えばいいですか?
お口の状態によって異なりますが、当院では治療後、少なくとも半年に1回のメンテナンスと、1年に1回を目安にCTによる確認を行っています。具体的な間隔は、治療後の状態を見てご案内します。
まとめ
オールオン4が何年もつかは一律に決められませんが、インプラント体と人工歯を分けて考えると、長期的に何が起こるかが見えてきます。当院の約15年の症例では、1本のインプラントを入れ直し、人工歯を作り替えながら使い続けています。保証期間は寿命を表すものではなく、長く使えるかどうかは、治療計画、人工歯の材料、そして治療後のメンテナンスにかかっています。
「自分の場合はどのくらい使えそうか」「どの人工歯を選べばいいか」は、お口の状態を診査したうえでご説明します。まずはご相談ください。
参考文献・出典
- 厚生労働省委託事業「歯科保健医療情報収集等事業」歯科インプラント治療の問題点と課題等 作業班「歯科インプラント治療のための Q&A」(平成26年3月31日)
- Soto-Penaloza D, et al. The all-on-four treatment concept: Systematic review. J Clin Exp Dent. 2017;9(3):e474-e488.
治療について
歯科治療の適応や治療方法、治療期間、費用、治療結果には個人差があります。実際の治療については、口腔内の状態を診査・診断したうえでご提案します。