オールオン4の「二重冠」とは?一般的な上部構造との違いとメリット・デメリット
オールオン4の上部構造の選択肢の一つ「二重冠」について、一般的な上部構造との違いや、見た目・噛んだときの音・発音・修理のしやすさといったメリット、費用や作製期間などのデメリット、2つのタイプの違いを解説します。
オールオン4の治療では、インプラントの上に「上部構造」と呼ばれる人工歯を取り付けます。上部構造は毎日の食事や会話、笑ったときの口元の印象に直接かかわる部分です。どのような素材で、どのような構造の上部構造を選ぶかによって、見た目や噛み心地、その後のメンテナンスのしやすさは大きく変わります。
当院では、上部構造の選択肢の一つとして、当院が独自に開発した「二重冠」構造の上部構造をご用意しています(特許取得済み)。この記事では、二重冠とはどのような上部構造なのか、一般的な上部構造との違い、メリットとデメリット、2つのタイプの違いについて詳しく解説します。
二重冠とは?
二重冠とは、歯の土台となるフレームと、歯の部分(クラウン)が分かれている上部構造のことです。土台となるフレームの上に、1本ずつ個別に作製したクラウンを被せて仕上げます。
そもそも「上部構造」とは
オールオン4は、片顎に4本のインプラントを埋め込み、その上に片顎12本分ほどの人工歯を連結して固定する治療法です。このインプラントの上に固定する人工歯のことを「上部構造」と呼びます。
上部構造には、一般的にジルコニアやアクリル樹脂(レジン)などの素材が使われます。ジルコニアは「人工ダイヤモンド」とも呼ばれるセラミックの一種で、強度が高く、変色しにくいのが特徴です。
上部構造ができるまで
ジルコニアの上部構造は、患者様のお口の型やデータをもとに設計し、「ジルコニアディスク」と呼ばれる白い円盤状の材料から、専用の機械で歯の形を削り出して作ります。削り出したあとは専用の炉で焼き固め、表面を磨いて仕上げます。素材によっては3Dプリンターで作製する方法もあり、いずれの方法も専用の設備が欠かせません。
一般的な上部構造は、この焼き上がった一つの塊に色付けをして仕上げます。それに対して二重冠は、焼き上げたフレームの上に、さらに1歯ずつ個別に作製した歯を取り付けていく点が大きな違いです。工程が増える分、手間と時間はかかりますが、そのぶん見た目や機能の面で大きなメリットがあります。
当院では、歯科医師と専属の歯科技工所が連携し、設計から仕上げまでを行っています。
一般的な上部構造と二重冠の違い
一般的なジルコニアの上部構造は、12本分の歯と歯ぐきの部分を、1枚のジルコニアから一つの塊として削り出します。二重冠は、フレームと歯の部分を分けて作り、歯を1本ずつ独立させているのが特徴です。主な違いを表にまとめます。
| 一般的な上部構造(一体型) | 二重冠 | |
|---|---|---|
| 構造 | 歯と土台を一つの塊として削り出す | 土台のフレームに、1本ずつ作製した歯を被せる |
| 見た目 | 歯と歯の境目を色付けで表現する | 歯が1本ずつ独立しているため、境目や形が自然に見えやすい |
| 噛んだ音 | 「カチカチ」という硬い音が気になることがある | 音が気になりにくい |
| 発音 | 歯と歯の間がつながっているため、空気が抜けにくいことがある | 歯と歯の間から空気が抜け、自然な発音が期待できる |
| 修理 | 全体を作り直す必要がある場合が多い | 欠けた歯だけを取り替えられる |
| 費用・期間 | 二重冠より抑えやすい | 工程が多い分、費用と作製期間がかかる |
二重冠の4つのメリット
1. 見た目が自然できれい
二重冠は歯を1本ずつ作製するため、歯の形や大きさ、歯と歯の境目を、より自然に近い形で再現できます。一体型の上部構造は歯の境目を色付けで表現するため、角度や光の当たり方によっては、作り物らしさが出てしまうことがあります。二重冠では歯が1本ずつ独立しているので、ご自身の歯が並んでいるような自然な口元を目指せます。
2. 「カチカチ」という噛んだときの音が気になりにくい
硬いジルコニア同士で噛み合わせると、「カチカチ」という音が気になる方がいらっしゃいます。二重冠は歯が1本ずつ独立した構造のため、一つの塊として削り出した上部構造に比べて、噛んだときの音の軽減が期待できます。食事中や会話中の音が気になる方にとって、大きなポイントになります。
3. 発音しやすい
一つの塊として削り出した上部構造は、歯と歯の間がつながっているため、空気の抜け方がご自身の歯とは異なります。そのため、サ行などの発音がしにくいと感じる方もいらっしゃいます。二重冠は歯と歯の間から空気が抜けるため、より自然な発音が期待できます。
4. 欠けても部分的に修理でき、メンテナンスしやすい
一体型の上部構造は、一部が欠けたり割れたりした場合、全体を作り直さなければならないことがあります。二重冠は歯が1本ずつ独立しているため、欠けた歯だけを取り替えて修理できます。修理にかかる時間や費用の負担を抑えやすく、長く使っていくうえで安心につながります。
二重冠のデメリット・注意点
メリットの多い二重冠ですが、注意しておきたい点もあります。
- 作製の費用と時間がかかる:フレームと歯を別々に作り、1本ずつ取り付けていくため、一般的な上部構造に比べて工程が多く、費用が高くなり、完成までの期間も長くなります。
- 素材によっては定期的な交換が必要:歯の部分にハイブリッドレジンを使うタイプは、ジルコニアに比べてすり減り(咬耗)が早いため、個人差はありますが、数年に一度、歯の部分の交換が必要になります。
- 定期的なメンテナンスは欠かせない:二重冠に限らず、上部構造を長く使うためには、定期検診とクリーニングが必要です。噛み合わせの状態や、インプラント周囲の歯ぐきの状態も定期的に確認します。
二重冠の2つのタイプ
二重冠は、歯の部分(クラウン)の素材によって、2つのタイプからお選びいただけます。
ジルコニア オン ジルコニア(フルジルコニア二重冠)
フルジルコニアのフレームに、フルジルコニアのクラウンを1本ずつ被せた上部構造です。見た目の自然さと強度を両立したい方に適しています。従来のフルジルコニアの上部構造に比べて、噛み合わせたときの音の軽減や、サ行などの自然な発音が期待できます。
ジルコニア オン ハイブリッド
ジルコニアのフレームに、ハイブリッドレジンのクラウンを被せた上部構造です。歯の部分がジルコニアより柔らかい素材のため、噛んだときの音がより気になりにくいのが特徴です。噛み合わせたときの音がどうしても気になる方は、こちらも選択できます。ただし、ジルコニアに比べてすり減りが早いため、数年に一度、歯の部分の交換が必要になります(個人差があります)。
技工士より
All-on-4 CLINIC 専属技工所
技工リーダー小枝 陽介
上部構造は毎日使うものなので、作って終わりではなく、長く使っていただくことを考えて設計しています。二重冠は歯が1本ずつ独立しているため、万が一欠けてしまっても、その歯だけを作り直して取り替えることができます。
素材やタイプによって、見た目や噛んだときの感覚、メンテナンスの考え方は変わります。歯科医師と相談しながら、患者様の生活に合った上部構造をご提案していますので、気になることがあれば遠慮なくお聞きください。
二重冠はこんな方に向いています
- 入れ歯のような作り物らしさが出にくい、自然な見た目にしたい方
- 噛んだときの「カチカチ」という音が気になる方
- 人前で話す機会が多く、発音のしやすさを重視したい方
- 将来、歯が欠けたときの修理のしやすさも考えておきたい方
まとめ
二重冠は、土台のフレームの上に1本ずつ作製した歯を被せる、当院独自の上部構造です(特許取得済み)。手間がかかる分、一般的な上部構造に比べて費用は高くなりますが、見た目の自然さ、噛んだときの音、発音のしやすさ、修理のしやすさといった、毎日の生活にかかわる部分に配慮した上部構造です。そのため当院では、オールオン4の上部構造として二重冠をご提案しています。
どのタイプが合っているかは、噛み合わせやお口の状態、ご希望によって異なります。上部構造の素材や費用について詳しく知りたい方は、オールオン4やオールオン4の費用のページもあわせてご覧のうえ、お気軽にカウンセリングでご相談ください。
治療について
歯科治療の適応や治療方法、治療期間、費用、治療結果には個人差があります。実際の治療については、口腔内の状態を診査・診断したうえでご提案します。
技工士より
All-on-4 CLINIC 専属技工所
技工リーダー小枝 陽介
二重冠は、土台のフレームを作ったあとに、歯を1本ずつ、形や色を確かめながら作製していきます。一つの塊として削り出す上部構造に比べると工程はかなり多くなりますが、そのぶん歯の形や歯と歯の境目を、ご自身の歯に近い自然な姿に仕上げることができます。
口元の印象は、歯の白さだけでなく、1本1本の形や並び方、歯ぐきとのつながり方で大きく変わります。患者様のお顔立ちや噛み合わせに合わせて、歯を1本ずつ調整できるところが、二重冠のいちばんの良さだと考えています。