インプラント治療に保険が適用される条件とは?

インプラント治療は基本的に自由診療となり、保険が適用されないケースがほとんどです。ただし、条件を満たす場合に限り、保険が適用されます。その場合も、保険診療でインプラント治療が可能な医療機関での受診が必要です。この記事では、インプラント治療に保険が適用される条件、そして保険診療でのインプラント治療が可能な医療機関について解説します。

インプラント治療を保険で受けられる医療機関とは

基本的には自由診療となるインプラント治療ですが、保険の適用がまったくないわけではありません。条件を満たせば保険でインプラント治療を受けることが可能です。保険が適用となる条件について解説します。

(1)歯科、または口腔外科であること

インプラント治療を保険適用で行えるのは、歯科または歯科口腔外科を標ぼうしている保険医療機関でなければなりません。

(2)歯科医師の条件

医師の常勤体制にも条件があります。具体的には、インプラント治療の経験が3年以上、または歯科・口腔外科で5年以上の経験がある常勤の歯科医師が2名以上いることです。

A:当該診療科に係る5年以上の経験
B:当該療養の3年以上の経験
上記に該当する常勤の歯科医師が2名以上配置されていること。

(3)当直体制

受け入れる体制としての条件もあり、入院用のベッドが20床以上ある施設、そして当直体制が整備されていることが必要です。

(4)管理体制の整備

施設の管理体制において、医療機器保守管理及び医薬品に係る安全確保のための体制が整備されていることも、条件として設けられています。

保険が適用になる条件とは?

インプラント治療にも保険が適用されるようになったのは、2012年のことです。それまでは先進医療として認識されてきたインプラント義歯治療が除外され、国が定めた条件を満たせば、保険が適用されることになりました。

(1)先天性の疾患が原因の場合

国が定めた条件には、大きく分けて2つのパターンがあります。1つが、先天性の疾患が原因の場合。もう1つが、事故・病気が原因の場合です。

先天性の疾患が原因の場合は、以下の条件が挙げられます。
■先天性の疾患により、顎骨の1/3以上が欠損している
■先天的に顎骨が形成不全である
腫瘍や顎骨骨髄炎といった病気が原因で顎の骨の1/3以上が連続して欠損した場合、あるいは先天性疾患で、1/3以上の顎の骨が連続して欠損している場合、顎の骨に形成不全が見られると診断された場合が該当します。

(2)事故・病気が原因の場合

事故・病気が原因の場合として挙げられるのが、以下の条件です。

■第三者行為の事故の外傷などによって顎の骨の1/3以上が連続して欠損した場合
■骨の移植によって顎の骨が再建された場合
ブリッジ治療や入れ歯を使った治療では、噛む機能を回復することができない症状に限り、インプラント治療に保険が適用されます。
このように、インプラント治療が保険適用となる症例は限定されています。先天的な疾患や事故による外傷で歯を失った方々にとって、インプラント治療が保険適用となったことは大変喜ばしいことです。一方で、虫歯や歯周病が原因で歯を失った場合は、インプラント治療を保険適用で受けることはできません。
自身が保険適用の条件を満たしているかどうか判断することが難しい場合は、歯科医院やクリニックに相談してみてください。

インプラントの治療費を抑える方法とは?

虫歯や歯周病で歯を失った症例であっても、インプラント治療の費用負担を軽減する方法があります。医療費控除について、詳しく紹介します。

医療費控除とは

インプラント治療の費用を抑える方法が、医療費控除の申請です。医療費控除とは、指定の年に支払った医療費の総額が一定額を超えた場合に、税金(所得税・住民税)が軽減される制度のことです。条件によっては、還付金としてお金が返ってきます。ただし、総所得により還付金額は異なります。
医療費控除の手続き自体は決して難しいものではありません。誰でも簡単に申請することができますから、インプラント治療を受けた翌年に、忘れずに申請してください。また、控除の対象は治療費用の他に、歯科ローン・クレジットの立替払いの治療費、通院時の公共交通機関の交通費、公共機関での移動が難しい場合のタクシー代、処方による薬代なども含まれます。

インプラントメーカーの把握

インプラント治療は、医院やクリニックによって治療費に差があります。格安のインプラント治療をアピールしている場合もありますが、インプラント治療が高額であることには理由があります。治療費に大きく影響するのが使用するインプラントの種類です。国内で使用されるインプラントは30種類以上あり、同一メーカーでも規格、サイズ、種類が異なります。

国内では、厚生労働省で認可されたインプラントが使用されていますが、患者の同意があれば、国内未認可の海外製インプラントで治療するケースもあります。価格面でメリットがある国内未認可の海外製インプラントですが、治療実績やトラブルが起こった場合の具体的な対応方法などを確認することが欠かせないでしょう。

医療費控除を受ける条件

インプラント治療に限りませんが、医療費控除を受ける条件について説明します。対象となるのは、治療を受けた年の1月1日~12月31日までの1年間(デンタルローンを利用した場合は、ローン契約が成立した年)にかかった医療費が、合計で10万円以上の場合です。また、1年間の所得金額の合計が200万円未満であり、医療費が所得の5%以上になる方も対象となります。

<医療費控除が受けられる条件>
■1年間の医療費が10万円以上の人
■年間の合計所得200万円以下で、医療費が所得金額の5%以上だった人
※生計を共にする家族の治療費も合算することが可能です。生活を共にする家族には、生活費や学費を仕送りしている子どもや単身赴任の人も含みます。

医療費控除の計算方法

医療費控除の計算方法についても説明します。控除額は最高で200万円となり、以下の計算方法で算出されます。

■1年間の医療費が10万円以上の場合
医療費控除対象額 = 医療費の総額 ― 保険金などの補填金 ― 10万円

■年間所得200万円未満で、医療費が5%以上の場合
医療費控除対象額 = 医療費の総額 ― 保険金などの補填金 ― 総所得金額の5%

上記の計算方法から算出された医療費控除対象額に対して、所得に応じた税率をかけた金額が還付金となります。所得の税率は、所得金額が多いほど高くなり、還付金も多くなる仕組みとなっています。具体的な所得ごとの税率は、国税庁が発表する所得税率をご参照ください。

※参照:国税庁HP https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

医療費控除の申告方法

医療費控除を申請するにあたり準備が必要な書類や申請場所、申請方法、注意点、申請期限などは、以下の通りです。

■医療費控除を申請する方法
インプラント治療を受けた翌年に確定申告を行う必要があります。申告することで、算出された医療費控除額が所得から差し引かれるほか、納め過ぎた所得税が還付される仕組みです。

■医療費控除の申請に準備するもの
・確定申告書A(会社員、公務員、パート、アルバイトの方)
・確定申告書B(個人事業主または個人企業法人の方)
・医療費控除の明細書
・医療費の領収書
・源泉徴収票(原本)
・本人確認書類
・印鑑

※自由診療であるインプラント治療は、保険組合から届く「医療費のお知らせ(医療費通知)」には記載されません。そのため、申告時に領収書の提出を求められる場合があります。領収書は必ず保管しておきましょう。申告に必要な各種資料は、国税庁のホームページや税務署で入手できます。国税庁ホームページから資料のダウンロードや申告は、フォームに沿って行えば簡単にできます。

■医療費控除を申請する場所・方法
確定申告を行うには、準備した書類を税務署へ持参する方法、または税務署へ郵送する方法、e-taxによるオンラインでの申請があります。ただし、e-taxによる申告はマイナンバーカードの作成やカードリーダーが必要になるため、事前の準備が欠かせません。マイナンバーカードを作成していない場合は、税務署への持参、または郵送で申告することになります。いずれかの方法で申告を行い、税務署による受付が完了した後、数ヶ月ほどで指定の銀行口座に還付金が振り込まれます。

■申告の期間
医療費控除を申請するための確定申告は、毎年2月16日から3月15日までとなっています(新型コロナウイルス感染症対策の一環として、申請期間が延長される可能性もあります)。治療を受けた翌年に忘れずに申請できるよう、必要書類などを準備しておきましょう。

医療費控除の申請で注意したいポイント

医療費控除の対象となる費用は、医院やクリニックに支払った治療費だけではありません。歯科ローンやクレジットで払った治療費、交通機関を利用した際の交通費、タクシー代、処方による薬の代金も控除の対象となります。また、生計を共にする家族の医療費も合算して申告できるなど、注意したいポイントがいくつかあります。詳細は以下の通りです。

・生計を共にする家族の医療費を合算して申告をしているかどうか
・通院に利用した交通費(公共交通機関、タクシー代)も含めて申告をしているかどうか
・デンタルローンの場合は、ローン契約が成立した年を対象にしているかどうか
・確定申告の義務がない人については、医療費を支払った年の翌年1月1日から5年間は制度適用となる
・所得額に応じて税率が高くなるため、家族の中で所得の高い人が申請を行うことで還付額が多くなる

まとめ

インプラント治療を保険適用で受けるには、限定された条件を満たしていることが欠かせません。また、治療を受けられるのは、大規模病院の歯科・口腔外科など、一部の医療機関に限られます。自分が保険適用の対象となるかどうか判断がつかない場合は、お近くの歯科医院やクリニックに相談されることをおすすめします。無料のカウンセリングや診断を行っている医院・クリニックもたくさんありますので、相談しやすい医師をぜひ見つけてください。

 

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