ザイゴマインプラントの失敗とは?よくあるトラブルの原因と、他院治療後の再治療例

ザイゴマインプラントは、上顎の骨が著しく少ない方の固定式の歯を支える治療ですが、インプラントの位置や治療後の管理によってはトラブルが起こることがあります。累計1,010本のザイゴマインプラントを埋入してきた当院が、よくある失敗の原因と防ぎ方、他院で治療を受けた方の再治療例を解説します。

ザイゴマインプラントの失敗とは?よくあるトラブルの原因と、他院治療後の再治療例

この記事の結論

ザイゴマインプラントの「失敗」の多くは、インプラントを入れる位置・角度の計画と、治療後の管理に原因があります。トラブルが起きても、状態によってはインプラントを除去して適切な位置に入れ直す再治療ができる場合があります。

  • 主なトラブルは、埋入位置のずれによる違和感や噛み合わせの不具合、副鼻腔(上顎洞)の炎症、インプラント周囲炎、人工歯の破損です
  • 当院で再治療した方の例では、頬骨から大きく飛び出していた左右のザイゴマインプラントを除去し、同時に適切な位置へ入れ直しました(総額7,040,000円・税込)
  • 防ぐためには、CTによる立体的な計画、最終的な人工歯から逆算した位置決め、治療後の定期メンテナンスが欠かせません
  • 当院は2013年からザイゴマインプラントに取り組み、累計1,010本(2013〜2025年)を埋入しています

「ザイゴマインプラントを入れたけれど、頬に違和感がある」「仮歯で噛みにくい」「この治療を受けて本当に大丈夫だろうか」。ザイゴマインプラントは、上顎の骨が著しく少ない方にとって固定式の歯を取り戻す選択肢の一つですが、高度な外科治療であるぶん、計画や管理によって結果が大きく変わります。

この記事では、当院で他院治療後のご相談を受けてきた経験から、ザイゴマインプラントで起こりやすいトラブルとその原因、防ぐためのポイント、実際の再治療例をご紹介します。

ザイゴマインプラントの「失敗」とはどんな状態?

ザイゴマインプラントの失敗とは、手術そのものの問題だけでなく、治療後に違和感や噛みにくさが残ったり、炎症によってインプラントが長く使えなくなったりする状態を指します。主なトラブルは次の4つです。

トラブル主な症状主な原因
埋入位置のずれ頬の違和感、噛みにくさ、顔貌の変化インプラントの位置・角度・長さの計画、頬骨の形への合わせ方
副鼻腔(上顎洞)の炎症鼻づまり、頬の痛みや重さ、膿ザイゴマインプラントが上顎洞の近くを通ること、上顎洞の状態
インプラント周囲炎歯ぐきの腫れ、出血、ぐらつき清掃しにくい人工歯の形、メンテナンス不足、喫煙
人工歯の破損・すり減り人工歯が欠ける、外れる、噛み合わせが低くなる噛む力と人工歯の設計・材料が合っていない

当院で行った再治療例:頬骨から飛び出したインプラントの入れ直し

他院でザイゴマインプラントの治療を受けたあと、「仮歯の噛み合わせが悪くて噛みづらい」「顔貌が変わってしまった」「頬にも違和感がある」とのことで、当院を受診された方の例です。

再治療前のパノラマX線画像
再治療前のパノラマX線画像

再治療前の状態

CTで確認すると、左右のザイゴマインプラントが頬骨から大きく飛び出しており、頬を触ると違和感がある状態でした。ザイゴマインプラントは頬骨の中を通して固定するのが基本ですが、位置や角度が合っていないと、頬の違和感や、人工歯の位置が合わないことによる噛み合わせの問題につながります。

再治療前のCT画像
再治療前のCT画像

行った治療

前方の通常のインプラントは残し、他院で入れられた左右のザイゴマインプラントを除去しました。同じ手術で、新しいザイゴマインプラントを適切な位置に入れ直しています。その後、仮歯を2回作り直して噛み合わせと見た目を整え、最終的にフルジルコニアの人工歯を装着しました。

再治療後のパノラマX線画像
再治療後のパノラマX線画像
治療内容左右ザイゴマインプラントの除去および再埋入、上下仮歯(2回)、フルジルコニアの最終的な人工歯
治療期間6か月〜1年
治療費(税込)7,040,000円(再手術費用・上下仮歯2回 1,540,000円、フルジルコニアの最終的な人工歯 5,500,000円)
経過治療後数年が経過し、現在も良好な状態を保っています
リスク・副作用ザイゴマインプラント治療により、急性細菌性副鼻腔炎を起こす可能性があります。ザイゴマインプラントも通常のインプラントと同様、メンテナンスを怠るとインプラント周囲炎を招くおそれがあります。

これは個別の治療例で、すべての方に同じ治療・結果・費用・期間をお約束するものではありません。再治療ができるかどうかは、骨や頬骨の状態、全身状態などによって異なります。

失敗を防ぐために大切なことは?

ザイゴマインプラントのトラブルを防ぐうえで大切なのは、手術の前の計画と、治療後の管理です。

CTで頬骨と上顎の形を立体的に確認する

ザイゴマインプラントは、通常のインプラントよりも長いインプラントを、上顎から頬骨に向けて入れます。頬骨の形や厚み、上顎洞の位置は一人ひとり違うため、CTで立体的に確認し、インプラントの位置・角度・長さを計画することが欠かせません。

最終的な人工歯から逆算して位置を決める

インプラントの位置は、骨に入るかどうかだけでなく、最終的な人工歯がどこに並ぶかから考える必要があります。位置が合っていないと、人工歯が不自然な位置になったり、噛み合わせや見た目に影響したりします。当院では、歯科医師と専属技工所の歯科技工士が情報を共有し、人工歯の形から逆算して計画を立てます。

通常のインプラントとの組み合わせを検討する

上顎の前方に骨が残っている場合は、通常のインプラントとザイゴマインプラントを組み合わせる方法、骨の吸収が非常に大きい場合は複数本のザイゴマインプラントを使う方法など、骨の状態に合わせて治療方法を選びます。

治療後も定期的に確認する

インプラント周囲炎は、初期には自覚症状が少ないことがあります。治療後は定期的なメンテナンスで、インプラントのまわりの歯ぐきや骨、噛み合わせ、人工歯の状態を確認し、変化を早めに見つけることが大切です。

こんな症状があれば早めに相談を

ザイゴマインプラントの治療後に次のような症状があるときは、早めに歯科医院で状態を確認してください。

  • 頬を触ると硬いものが当たる、違和感がある
  • 鼻づまりや、頬の痛み・重さが続く
  • インプラントのまわりの歯ぐきが腫れる、出血する、膿が出る
  • 噛んだときに人工歯全体が動く感じがある
  • 噛み合わせが合わない、人工歯が欠けた・外れた

ザイゴマインプラント治療の注意点

ザイゴマインプラントは外科手術を伴う治療です。腫れ、痛み、出血、内出血、感染のほか、副鼻腔に関連する症状、知覚の変化、インプラント周囲の炎症、インプラントの脱落などが生じる可能性があります。再治療も外科手術を伴い、同様のリスクがあります。

ザイゴマインプラントは公的医療保険が適用されない自由診療です。当院ではザイゴマインプラント1本あたり550,000円(税込)を、オールオン4などのオペ費用に追加します。総額は、使用する本数、通常のインプラントとの組み合わせ、人工歯の種類などによって異なります。

よくある質問

他院で入れたザイゴマインプラントの相談はできますか?

ご相談いただけます。画像診断や口腔内の診査を行い、既存のインプラントの状態を確認したうえで、除去や再治療を含めた治療計画を検討します。レントゲン・CT画像や治療計画書などの資料があればお持ちください。

ザイゴマインプラントを除去して入れ直すことはできますか?

状態によっては可能です。当院の再治療例では、他院で入れられた左右のザイゴマインプラントを除去し、同じ手術で新しいザイゴマインプラントを適切な位置に入れ直しました。可能かどうかは、骨や頬骨の状態、全身状態によって異なります。

ザイゴマインプラントで副鼻腔炎になることはありますか?

ザイゴマインプラントは上顎洞の近くを通るため、急性細菌性副鼻腔炎などの症状が出る可能性があります。手術前に上顎洞の状態を画像で確認し、治療後に鼻づまりや頬の痛みが続く場合は、早めに状態を確認します。

失敗しないクリニックの選び方はありますか?

CTによる診断と治療計画の説明があるか、ザイゴマインプラントの治療経験、人工歯をどのように設計・製作しているか、治療後のメンテナンスと保証、リスクの説明があるかを確認することをおすすめします。

まとめ

ザイゴマインプラントのトラブルは、インプラントの位置・角度の計画と、治療後の管理に関わることが多くあります。当院では、他院で受けた治療後のトラブルについても、CTで状態を確認したうえで、除去や入れ直しを含めた再治療を検討しています。

「今のザイゴマインプラントに違和感がある」「これから受ける治療が不安」という方も、まずはご相談ください。

治療について

歯科治療の適応や治療方法、治療期間、費用、治療結果には個人差があります。実際の治療については、口腔内の状態を診査・診断したうえでご提案します。

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