骨が少ないとオールオン4はできない?傾斜埋入・骨造成・ザイゴマインプラントの違い
「骨が足りないのでインプラントはできない」と言われても、固定式の歯をあきらめる必要があるとは限りません。オールオン4はインプラントを傾けて埋入することで骨造成を避けられる場合があり、上顎の骨が著しく少ない場合は頬骨を使うザイゴマインプラントという方法もあります。それぞれの違い、費用、リスクを解説します。
この記事の結論
骨が少ないと言われても、オールオン4などの固定式の歯ができないとは限りません。骨の量と位置をCTで確認し、使える骨を生かす方法を検討します。
- オールオン4は、インプラントを傾けて埋入するなどの方法で、骨造成を避けられる場合があります
- 上顎の骨が著しく少ない場合は、頬骨(ザイゴマ)を固定源とするザイゴマインプラントを組み合わせる方法があります
- 当院のザイゴマインプラントの埋入実績は、2013〜2025年で累計1,010本です
- どの方法も外科手術を伴い、すべての方に適応できるわけではありません。適応はCTなどの診査・診断で判断します
ほかの歯科医院で「骨が足りないので、インプラントは難しい」「まず大がかりな骨造成が必要」と説明を受けて、固定式の歯をあきらめかけている方は少なくありません。
この記事では、骨が少ない場合に検討される治療方法として、オールオン4の傾斜埋入、骨造成、ザイゴマインプラントの3つを取り上げ、それぞれの違いと費用、リスク、セカンドオピニオンの受け方を解説します。
なぜ顎の骨は少なくなるの?
顎の骨は、歯を失ったまま長い期間がたったり、重度の歯周病が進んだりすると、少しずつ吸収されて痩せていきます。とくに上顎は骨の吸収が大きくなりやすい部位です。
- 歯を失ってから長い期間がたっている
- 重度の歯周病で、歯を支える骨が失われている
- 長い期間、入れ歯を使っている
- 過去のインプラント治療で骨の状態が変わっている
通常のインプラントは、歯を失った部分の顎の骨に埋入し、骨と結合させて人工歯を支えます。そのため、インプラントを固定できるだけの骨の量と質が必要になります。骨が少ないと「インプラントは難しい」と説明されることがあるのはこのためです。
骨が少なくてもオールオン4はできる?
骨の状態によっては、できる場合があります。オールオン4は、インプラントの配置や角度を工夫して、残っている骨を生かしながら固定式の人工歯を支える治療法です。
失った歯の位置に1本ずつインプラントを入れる方法では、骨が足りない場所に骨造成が必要になることがあります。オールオン4では、骨が残っている場所を選び、インプラントを傾けて埋入するなどの方法で、骨造成を避けられる場合があります。
ただし、上顎の骨の吸収が大きい場合は、通常のオールオン4だけでは十分な固定が得られないことがあります。そのときに検討するのが、次に紹介する骨造成やザイゴマインプラントです。
骨造成とザイゴマインプラントは何が違う?
骨造成は「足りない骨を増やしてからインプラントを入れる」方法、ザイゴマインプラントは「上顎の骨のかわりに頬骨を固定源にする」方法です。
| 比較項目 | オールオン4(傾斜埋入) | 骨造成 | ザイゴマインプラント |
|---|---|---|---|
| 考え方 | 残っている骨を生かし、角度を工夫して埋入する | 骨を増やしてからインプラントを埋入する | 頬骨を固定源として長いインプラントを埋入する |
| 主な対象 | インプラントを固定できる顎の骨がある場合 | 部分的に骨が足りない場合など | 上顎の骨が著しく少ない場合 |
| 当院の費用(税込) | 片顎4本の標準価格2,990,000円 | GBR(水平的骨造成)120,000円〜、サイナスリフト片側250,000円〜など | 1本あたり550,000円をオペ費用に追加 |
| 注意点 | 骨や全身の状態によっては適応にならない | 骨ができるのを待つ期間が必要になることがある | より高度な外科治療で、上顎洞に関連する合併症などのリスクがある |
骨造成
骨造成は、インプラントを埋入する場所の骨を増やす処置です。骨の幅を増やすGBR、上顎の奥歯の部分で上顎洞の底を持ち上げて骨をつくるサイナスリフトやソケットリフトなどがあります。当院の料金表では、GBR(水平的骨造成)120,000円〜、GBR(垂直的骨造成)360,000円〜、サイナスリフト(片側)250,000円〜、ソケットリフト(1か所)125,000円(いずれも税込)としています。
ザイゴマインプラント
ザイゴマインプラントは、上顎のさらに奥にある頬骨を固定源として、通常よりも長いインプラントを埋入する治療です。上顎骨だけでは固定が難しい場合でも、固定式の人工歯を検討できることがあり、頬骨を使うことで大規模な骨造成を避けられる場合があります。
骨が残っている位置や量によって、組み合わせ方を変えます。
- All-on-4 Hybrid:前歯の部分では通常のインプラントで固定できる場合に、通常のインプラントとザイゴマインプラントを組み合わせる方法
- All-on-4 Hybrid + 2:骨の状態や必要な固定を考えながら、通常のインプラントとザイゴマインプラントを組み合わせる方法
- All-on-4 Double Zygoma:上顎の骨の吸収が非常に大きい場合に、複数本のザイゴマインプラントを使う方法
ザイゴマインプラントの費用と治療期間は?
当院のザイゴマインプラントは、1本あたり550,000円(税込)をオペ費用に追加する料金です。総額は、ザイゴマインプラントの本数、通常のインプラントとの組み合わせ、最終的な人工歯の種類、麻酔方法、抜歯や既存インプラントの除去といった追加処置によって変わります。自由診療(保険適用外)です。
参考として、当院で公開している症例の数字をご紹介します。いずれも個別の治療例で、同じ結果・費用・期間を約束するものではありません。
| 治療内容 | 治療期間 | 費用 |
|---|---|---|
| 上下オールオン4(上:ザイゴマインプラント) | 1年 | 8,630,000円 |
| 上顎:オールオン4(ザイゴマインプラント)/下顎:インプラント | 10か月 | 約7,790,000円(モニター割引適用) |
| 上顎:オールオン4ハイブリッド両側ザイゴマインプラント/下顎:オールオン4 | 約12か月 | 約5,810,000円(モニター割引適用) |
ザイゴマインプラントを使う治療は、通常のオールオン4よりも治療期間が長くなることがあります。治療前に、治療計画とあわせて費用と期間の目安をご説明します。
骨が少ない場合の治療のリスク
骨が少ない場合の治療は、どの方法も外科手術を伴います。とくにザイゴマインプラントは、解剖学的に重要な部位を扱う高度な外科治療です。
- 手術後の痛み、腫れ、出血、内出血、違和感
- 上顎洞や周囲の組織への影響、上顎洞炎
- 感染、インプラントが骨と十分に結合しない・脱落する可能性
- 清掃が不十分な場合のインプラント周囲炎
- 全身の状態や口腔内の状態によっては治療を行えない場合があること
リスクを抑えるために、手術前にCTで骨の形や神経・上顎洞の位置を立体的に確認し、インプラントの位置・角度・長さを計画します。
他院で「できない」と言われたら、セカンドオピニオンを
当院の総院長・橋村吾郎は、「インプラント治療は『出来る、出来ない』ではなく、長期にわたりトラブルなく快適に過ごせる治療が出来るか」という考えで診療しています。2001年からインプラント治療に携わり、2009年からオールオン4、2013年からザイゴマインプラントの治療を行ってきました。ザイゴマインプラントの埋入は、2013〜2024年で870本、2025年で140本です。
当院では、ほかの歯科医院で説明を受けた方のセカンドオピニオンも承っています。現在の診断や治療計画をうかがったうえで、当院の歯科医師がお口の状態を改めて確認し、考えられる治療の選択肢をご説明します。お手元にレントゲン・CT画像や治療計画書などの資料があれば、お持ちください。
ただし、すべての方に固定式の治療ができるわけではありません。骨の状態や全身の状態によっては、入れ歯など別の方法をおすすめすることもあります。
よくある質問
骨が少ないと言われましたが、必ずザイゴマインプラントになりますか?
必ずではありません。骨の残っている位置によっては、インプラントの角度を工夫した通常のオールオン4や、部分的な骨造成で対応できる場合があります。CTで骨の状態を確認して判断します。
骨造成とザイゴマインプラントでは、どちらが安いですか?
必要となる治療内容が異なるため、費用だけで単純に比較することはできません。骨の量と質、治療範囲、治療期間などを診断したうえで、適した方法を検討します。
下顎の骨が少ない場合もザイゴマインプラントを使いますか?
ザイゴマインプラントは頬骨を固定源とするため、上顎の骨が著しく少ない場合に検討する治療です。下顎の骨の状態は、CTで確認して治療方法を検討します。
ザイゴマインプラントは保険適用になりますか?
一般的な歯科インプラント治療と同じく、通常は自由診療です。治療前に、治療計画とあわせて費用をご説明します。
まとめ
骨が少ないと言われても、オールオン4の傾斜埋入、骨造成、ザイゴマインプラントなど、固定式の歯を検討できる方法があります。どの方法が適しているかは、骨の量や位置、全身の状態によって異なり、すべての方に適応できるわけではありません。
「ほかの医院でインプラントは難しいと言われた」「骨造成が必要と言われて迷っている」という方は、検査資料をお持ちのうえ、一度ご相談ください。CTによる診査・診断をもとに、治療方法と費用、リスクをご説明します。
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